税効果会計の重要性

近年では差異を対応させるための税効果会計の重要性がかなり高まってきています。従って税効果会計の正しい理解と適切な運用が一層求められているといえるでしょう。

 

損益認識時期に関する企業会計と税法との乖離要因についてですが、そもそも企業会計の目的は投資家への情報提供であることが主となっていますが、税法での目的は、公平な税負担や課税の実施です。

 

このようにそれぞれの目的とする観点が異なるので根本的な乖離の要因もそこにあることになります。特に税法については、社会経済情勢の急激な変化となる会計ビッグバンなど、税制改正が税の公平性を確保するために頻繁に実施されるようになっているので、減損損失や退職給与引当金等の費用の認識を論点に、企業会計との乖離が拡大しているのが実態でしょう。だからこそ、税効果会計の重要性と正しい理解が更に求められているわけです。

 

ちなみに収益力の低い企業が多額の繰延税金資産を計上することがありますが、これは健全な会計処理とはいえません。損金計上で認められる将来時点で繰延税金資産が減少して、同額分が当期純利益で減少しますが、実際には将来に見合うような税引前当期純利益が確保できない場合もあるので、税引後当期純利益は赤字となってしまいます。

 

こうした収益力が低く、課税所得が少ない場合には、税金を前払いする能力に乏しいのですから法人税等の額を減少させる効果は期待できません。つまり税効果会計における繰延税金資産計上では、一時差異が解消するとされる将来時点にて課税所得が十分確保されることが大前提だともいえます。